自分には人生を力強く生きる覚悟がない、新しいものに挑戦する勇気が出ない、どうしても楽な方に逃げてしまう。
こんなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?
武士の規律やあるべき姿を記した「葉隠」の中には「武士道と云うは死ぬ事と見付けたり」という有名な言葉が出てきます。
これは常に死を意識することによって生がより輝くということを示しているのです。
私たちの祖先である侍達は常日頃から死を意識することで自分を磨きあげ力強く懸命に生きてきました。
あなたが自分の生き方に迷っているのなら、先人達が残してくれた日本人の思考のルーツ「武士道」が勇気を授けてくれることでしょう。
この記事では日本人の心の奥底に刻まれた武士道について解説します。
・救急救命士に必要な武士道
・武士道の活用方法
・ 救急救命士エピソード紹介

こんにちは。民間救急救命士歴15年、元消防士のKIDです。
子供の頃から武士の力強い生き方に憧れ30年以上武道を継続しています。
大河ドラマが日本人の心を打つのは、彼らの生き方が私たちの心の奥底に眠っている
日本人としてのアイデンティティを刺激するからではないでしょうか?
今回ご紹介する武士道を胸に刻むことで生きる覚悟を身につけましょう!!
目次

救急救命士にとって武士道を学ぶことは仕事のやりがいや満足度に直結します。
なぜなら消防士や救急救命士などに代表される「士業」は武士道の影響を色濃く受けているからです。
地域住民のために常に自分を律し、精神と肉体を鍛え上げ危険な現場に身を投じる。その姿勢は侍の生きた方そのもの。
武士道は仏教、神道、儒教の影響を受けて日本固有の精神として生まれました。
武士道を学び彼らの思考を身につけることで、あなたの救急救命士という人生はより輝くことでしょう。


武士道ってなんだかカッコイイな!!
パパも消防士時代に危ない経験をしたの??

救急現場はもちろん火災現場で煙に包まれたり、救助現場で何度も危険な思いをしたよ。
危険と隣り合わせな職業である消防救急救命士って現代の侍だって思うんだ。
武士道とはなにか

武士道は武士だけではなく士農工商すべての人々に影響を与えてきた規範であり概念です。
日本人は世界的に見てもモラルが高く道徳的といわれていますが、これは私たちが知らず知らずのうちに武士道精神を先祖から受け継いでいるからに他なりません。
旧5千円札の肖像にもなった新渡戸稲造はベルギー人の友人から特定の宗教を持たない日本人が道徳的でいられる理由を尋ねられ、それが武士道にあると気がつき英語で「武士道」を世界に紹介しました。
歴史に名を残すアメリカ大統領であるセオドア・ルーズベルトやジョン・F・ケネディも武士道を愛読していたといいます。武士道は日本人だけではなく、世界にも認められた日本固有の精神なのです。
武士道は以下の7つの徳で形成されています。
・義(正しさ):人として守るべき道
・勇(勇敢さ):勇気を持って正しいことを成すこと
・仁(情け):他者を思いやる優しい心
・礼(敬意):相手を大切に思い尊重する礼儀
・誠(誠実さ):決めたことを誠実に守ること
・名誉(誇り):人間としての尊厳や誇り
・忠義(忠誠):個人より公を重んじる心
現代の侍である救急救命士にとってこれら7つの徳を理解し実践していくことが働く意義に繋がります。
なぜなら武士道を着実に歩むことこそ、救急救命士として必要な精神を学ぶことになるからです。
精神と肉体を鍛え上げ、礼儀正しく利他の心を持って傷病者接し人命を助けること。
これが多くの住民があなたに求める理想的な救急救命士像なのです。
義と勇

「義」と「勇」は武士道を形成する大きな柱となる徳です。武士はこの2つの徳を何より大切にしていました。
義は人として必ず守らなければならない正しい道、そして勇はそれを実践するための勇気のこと。
孔子は論語の中で「義を見てせざるは勇なきなり」と説いています。
これは人としてやらなくてはならない使命があるのに、それができないのは勇気がないからだという戒めです。
救急救命士の義とは傷病者を適切に救護すること。そして勇とはどんな困難な現場でも勇気を持って任務を遂行すること。
是非、自分の成すべき正しい道を理解し、勇気を持ってそれを実行してください。

義と勇って武士にとってとても大切なものだったんだね。
僕も昔のお侍さんみたいに強く生きたいな!!

武士はこの2つを特に重んじていたんだ。
自分の決めた正しい道を勇気を持って進む。
この誇り高い精神は今を生きる僕たちも見習わなきゃいけないね!!
仁、礼、誠

「仁」「礼」「誠」は人と向き合う際に必要な大切な徳です。
仁は人間としての優しさ、礼は相手に対する配慮、誠は物事に対する誠実な態度。
この3つの徳は現代社会でも人間関係を良好に保つために必要な要素となります。
地域住民の命を救う使命を持つ救急救命士として、誰に対しても礼儀正しく接し誠実で親切であること。
この3つの徳を意識し実践することで、あなたは多くの人から信頼を得ることができるでしょう。

武士って戦う人のイメージがあるけど、優しさや礼儀も大切にしたんだね。
戦で死ぬかも知れないのにどうしてだろう?

伊達政宗は「義に過ぎれば固くなる、仁に過ぎれば弱くなる」って言っている。
強さと優しさのバランスを取ることこそ、武士道の神髄なのかも知れないね。
名誉と忠義

「名誉」と「忠義」は武士が命をかけて守ってきた徳です。
名誉は自分自身の尊厳を守ること、忠義は自分を犠牲にしてでも主君に仕えることを指します。
この2つが自身の名誉を守るための切腹や、主君のために自分の家族を犠牲にするなど独特な風習に繋がりました。
現代では理解されない徳ですが、このように武士は名誉や忠義を守るためなら死をもいとわなかったのです。
危険と隣り合わせな消防士や救急救命士の仕事は、多くの人に尊敬される名誉ある職業。
公務員が公を重んじる全体の奉仕者という概念も武士道の忠義に当てはまるのかも知れませんね。

名誉や忠義のため切腹や家族を犠牲にする!?
僕にはちょっと理解できないや・・・

名誉や忠義は7つの徳の中でも特に理解が難しいよね。
武士道の中には主君の跡継ぎを守るために、顔の似ている自分の幼い息子の首を差し出すエピソードが紹介されているんだけど、子を持つ親として胸が締め付けられたよ。

仏教、神道、儒教の影響を受け日本固有の精神として私たちに受け継がれてきた武士道精神。
武士道に対して西洋では騎士道精神を表す「ノブレス・オブリージュ」という考え方があります。
これは「高貴なる者は義務を負う」という概念で、戦争があった際、住民は逃げてもいいが騎士は血を流すことを恐れてはならないという意味です。
武士道もこれと同じく士農工商の最上位に位置する責任として常に自分を律し、時には死すら恐れない強い精神力を身につけていたのです。
特徴 | 武士道 | 騎士道 |
---|---|---|
規範 | 7つの徳目 | 騎士の十戒 |
忠誠 | 主君 | 神 |
信仰 | 自由 | キリスト教 |
魂 | 刀 | 十字架・武具・馬具 |
戦闘 | 名誉を重んじる | 正義を貫く |
自殺 | 切腹で名誉を守る | 自殺は不名誉 |
女性 | 男性に付き従う | レディーファースト |
死生観 | 死ぬことを見つけたり | メメント・モリ ※1 |
代表例 | 忠臣蔵 | アーサー王と円卓の騎士 |
上の表のように武士道と騎士道には考え方に違いがありますが、常に死を意識することにより毎日を全力で誇り高く生きたのです。
現代を生きる私たちも彼らのように自分の名誉や正義を貫き、限られた生を全うしたいですね。
それでは救急救命士の武士道の活用方法を見ていきましょう。
義と勇の活用方法
武士道における義と勇は救急救命士として活動する上で軸となる大切な徳です。
この軸が曖昧だと活動に迷いが生じて仲間や傷病者に不利益を与えかねません。
あなたが救急救命士として本当に大切にしていることを見つめ直し、勇気を持ってそれを実行しましょう。
そうすれば日々の活動を通して義と勇があなたの人間としての幹となり、救急救命士としても大きく成長させてくれます。
それでは救急救命士としてのあり方を例に義と勇の活用方法を見ていきましょう。

僕の救急救命士としての義は傷病者に寄り添うこと。
どんなに経験を積んでもこれだけは忘れないぞ!!

いい心がけだね。
救急業務に慣れてしまうと傷病者やその家族を物のように扱う人もいる。
後輩くんにはそうはならないでほしいな。

はい。
初心を忘れることなくこれからも勇気をもって自分の中の義を貫きます。

わかったよ。
俺も救急隊長として全面的にバックアップしていくからね!!
この例では後輩くんは自分の救急救命士として目指す道を「傷病者に寄り添える救命士」と定めました。
これを継続していくには数々の困難が伴うでしょう。
なぜなら救急活動には一つとして同じものはなく、時には暴言を吐かれたり、理不尽な経験をすることも多いからです。
残念ながらそれらの経験をするうちに情熱を失い、機械的に救急活動をこなす救命士も少なくありません。
それでも彼が自分の決めた義の道を勇を持って進めば、武士道はきっと人間としての大きな徳を与えてくれるでしょう。
仁、礼、誠の活用方法
武士道における仁、礼そして誠はコミュニケーションを円滑にする基本的要素です。
この3つの徳を高めることで他者から愛され信頼される人物になることができます。
救急救命士にとって礼儀正しいこと、優しさを持っていること、誠実なことは必須事項。
これらの徳を意識して傷病者やその家族と接することで、あなたは地域住民から真に感謝される救急救命士になることでしょう。
それでは 病院内での院内協力を例に仁、礼、誠の活用方法を見ていきましょう。

深夜にもかかわらず傷病者の受入れありがとうございます。
院内協力させていただきますので何でも言ってください。

後輩くん、ドクターが来るまで時間がかかるから、
その間、患者さんの着替えとバイタル測定の補助お願いしてもいい??

わかりました。病衣への着替えと血圧、酸素飽和度、心電図を測定しておきます。
他に手伝うことがあったら何でも言ってくださいね!!

ありがとう!
深夜はナースも少ないから本当に助かるわ。
この例では後輩くんが真摯な態度で傷病者を受入れてくれた病院に対して積極的に支援を申し出ています。
このような礼儀正しく誠実な態度は、救急隊と病院の関係を良好にします。
仁、礼、誠を意識して続けていけば病院側は今後も気持ちよく傷病者を受入れてくれるでしょう。
それは救急隊だけではなく傷病者の利益にも繋がるのです。
是非、現代の侍としてこの3つの徳を実践してください。

武士道の7つの徳が人として軸を作って、人間関係まで良くしてしまうんだね、
僕も武士のように強くて優しくなりたいな。

武士道の精神は現代でも十分応用できる。
精神的、肉体的にもハードな救急救命士には武士道を心のより所にしてもらいたいな。

武士道は私たち日本人のDNAに刻まれた日本固有の精神です。これを「大和魂」といいます。
大和魂は現代でも潰えることなく祖先から私たちに継承されている。
救急救命士の専門学校の最終学年になった時、私は人生最大のピンチに陥っていました。
そのピンチを乗り越えられたのは自分の中に大和魂があったからです。
今回は私がどのように人生のピンチを乗り切ったのかを Q&A形式でご紹介します。
- 当時の状況を教えて
- 専門学校の3年生になると国家試験の勉強と並行して就職活動が始まりました。
当時は病院救命士や民間救命士の選択肢はなかったので、全員が消防を受験します。
就職氷河期だったこともあり消防も採用を絞っており、大規模消防でも数名、小規模の消防では採用なしということがざらにありました。
当然人気の自治体の消防は倍率が高く、一緒に救急救命士を目指して汗水を流してきた同級生達とも採用枠の奪い合いをすることになります。
- どのようなピンチだったの?
- 私も地元周辺を中心に何カ所かの消防を受験しましたがすべて不採用。
就職が決まった同級生達に笑顔でエールを送りつつ、心の中ではいつまでも就職が決まらない自分が情けなくて劣等感で一杯でした。
それからも何度か消防を受験しましたが、結局、専門学校の卒業までに私の就職先が決まることはありませんでした。
4月から消防救急救命士として新たな一歩を踏み出す仲間達を尻目に地元に帰省する私。
迎えに来てくれた母親に泣きながら謝罪したことを覚えています。
- どうやってその状況を乗り切ったの?
- 失意の中、地元に帰ってきた私が読んだ書籍が新渡戸稲造著の「武士道」でした。
武士道を読み進める中で「義」と「勇」が私の中に入ってきた感覚があったのです。
自分は人の役に立ちたい、人の命を救いたいから救急救命士になった。
自分の中の義を貫けないのは勇がないから。希望を捨てずに前に進もう!!
私は大和魂を胸に再び立ち上がり、消防に無事就職することができました。
近年は私の時代より消防への就職率が下がっており、今後、3割から4割の学生は消防へ就職できないといわれています。
これからもきっと多くの学生達が辛い思いをするでしょう。惨めな気持ちになるかも知れません。そんな時は是非、武士道を読んでみてください。
人生のピンチに遭遇したとき、あなたの中の大和魂が前に進む覚悟と勇気をくれるでしょう。

パパも消防士さんになる時にたくさん苦労したんだね。
なんだか胸が苦しくなったよ。

うん。あの時は本当に苦しかったから、今こうして救急救命士のブログを書いている。
一人でも多くの後輩達が同じような思いをしないよう願っているよ。
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・武士道は仏教、神道、儒教の影響を受けた日本固有の精神
・7つの徳を磨くことによって人生の軸を作ることができる
・死を意識することで生を更に輝かせることができる
武士道精神を常日頃から意識することで、あなたの生はより輝く。
そのためには「義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義」の7つの徳を実践する必要があります。
映画「ラストサムライ」の中で、渡辺謙扮する勝元盛次はトム・クルーズ扮するオールグレンに武士の魂である刀を授けます。
そこには『今古有神奉志士』という文字が刻まれていました。これは「我は古きと新しきに和をもたらせし者の刀なり」という意味です。
古の時代から私たち日本人の精神に刻まれた武士道。脈々と受け継がれてきた大和魂が今の時代に生きる私たちの道しるべになってくれるでしょう。
今回ご紹介した武士道があなたの人生に少しでも良い影響を与えられたのならこんなに幸せなことはありません。

私たち日本人のDNAに刻まれている武士道。
道に迷ったとき、祖先が残してくれた強くて優しいその精神が
私たちにそっと寄り添い支えてくれることでしょう。
救急救命士のことをまとめているこちらの記事も是非ご覧ください。
これも難しいですね。
命より大切なものがあると戦争を始め、命より大切なものは無いと戦争を止める。
こんなような言葉を聞いたことがあります。
忠義と名誉は、なかなか自分に置き換えて考えられません。
全てを捨てでも、切り開いていける強さがなければ、ならないと思います。
武士道を理解し、自分の身にどのように活かすかですね😊
コウさん
コメントありがとうございます。
忠義と名誉の理解はなかなか難しいですよね。
組織や会社のために自分を犠牲にすることは時代に合わないと思います。
それでも武士道のエッセンスを知ることで、士業の皆さんには誇りを持って
仕事をしていただきたいです。