救急救命士としてこんなに頑張っているのに人から認められない。たくさん与えているはずなのにちっとも返ってこない。なぜか自分ばかりが損をしている気がする。
こんなお悩みを持っている方は多いのではないでしょうか?
救急救命士を目指す人は大なり小なり人の役に立ちたいという願望を持っています。
しかし、消防に就職したものの何か自分の思ったようにいかない。上手な人間関係を築けないという話をよく耳にします。
それを解消する方法をお教えします。それはあなたが与える人である「他者志向のGiver」になるのです。
この記事では成功と幸せを引き寄せるGIVE&TAKEについて解説します。
・救急救命士のGIVE&TAKE
・GIVE&TAKEの活用方法
・救急救命士エピソード紹介

こんにちは。民間救急救命士歴15年、元消防士のKIDです。
これまで自己啓発本を30冊以上読んで人がより良く生きていくための方法を研究しています。
良好な人間関係はGIVEとTAKEが釣り合っている時に成り立つ。
更に一歩進んでギバーに徹することができればあなたの人生は大きく変わるでしょう。
今回の記事では書籍『GIVE&TAKE』をベースに他者志向のギバーになる方法をご紹介します。
目次

救急救命士という職業は人に何かを与えることが好きな人(以下ギバー)にとっては天職になり得ます。
一般の方なら一生に一度あるかないかの大病や交通事故などの超緊急事態に颯爽と駆けつけ命を救うのです。
ここまでの他者貢献ができる職業は他になかなか見つからないでしょう。
しかし、多くの救急救命士はこの素晴らしい自分の行いについて意識していません。
それらのGIVEに対して社会的信用や住民からの感謝、安定した給与などのTAKEを得ているのです。

救命士さんてホントに立派なお仕事だよね。
僕も大人になったら人に感謝される仕事がしたいな!!

救急救命士はやりがいある素敵な仕事だよね。
パパはもう現場を離れているけど、日々、命の現場で働く彼らを本当に尊敬しているよ。
与える人、バランスを取る人そして奪う人
組織の中で働いていると様々な人と出会います。厳しい人、優しい人、熱い人、クールな人など。
皆さんは知らず知らずのうちに自分と思考が近い人やGIVEとTAKEが釣り合う人と親しくなるはずです。
ではどうすれば組織における成功や幸せを引き寄せることができるのでしょう?
組織心理学者で『GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代の』の著者であるアダム・グラントは組織における人間を3つのタイプに分類しました。
Giver(ギバー):人に惜しみなく与える人
Matcher(マッチャー):GIVE&TAKEのバランスを取る人
Taker(テイカー):自分の利益を最優先し奪う人
この3タイプで与える人であるギバーと奪う人テイカーはイメージがつきやすいのですが、実は半数以上の人がこの中間のマッチャーなのです。
マッチャーは与えることと受け取ることのバランスを取る人です。与えられればお返しする普通の思考を持っている人と考えていいでしょう。
3タイプの割合は下記のグラフの通り。実に81%(ギバー+マッチャー)の人達は与えてくれたり、与えれば返してくれるのです。
残り19%のテイカーは自分の利益を優先するので、ギバーから成果や時間を奪います。
組織にこのテイカーがいる場合は搾取されないように注意しましょう。

成功するパフォーマーになるために

人生において豊かな人間関係構築や、成功を手にするためには「他者志向のGiver」になることが必要。
他者志向のギバーは多くの人々の後押しを受け、時間はかかりますが確実に人生が好転していきます。
「GIVE&TAKE」では様々な職業のギバー、マッチャー、テイカーを追跡調査し、どのタイプが仕事のパフォーマンスがより高いのかランク付けをしています。
図のように組織の中で一番高いパフォーマンスを発揮できるのは全体の利益を考え行動できる他者志向のギバーでした。

ここで気をつけなければいけないのは、一番成功から遠い存在もギバーなのです。
彼らは自己犠牲のギバー。その優しさ故にテイカーから搾取されパフォーマンスが上がらず成功から遠ざかってしまうのです。
消防組織は一般的に上下関係が厳しく、知らず知らずのうちにこの自己犠牲のギバーになってしまい本来のパフォーマンスを発揮できない人がたくさんいます。
対策はテイカーを避けることです。テイカーに対してはマッチャー的に振る舞うことで相手はあなたから奪うことができなくなり離れていくでしょう。
要求ばかりしてくる上司や同僚からは可能な限り距離を取り、他者志向のギバーとして全体の利益を考え与える続ける。
これができれば、あなたは大多数を占める善良なギバーやマッチャーから認められ最終的には多くのリターンを得ることができるでしょう。

ギバー、マッチャー、テイカーにはこんな順番があるんだね。
僕もテイカーや自己犠牲のギバーにならないように気を付けなきゃ!

優しい人ってえてして自己犠牲のギバーになりがちだよね。
これまでも能力はあるのに成功しない人をたくさん見てきた。
きずなには他者志向のギバーになってもらいたいよ。
返報性の原則

人には何かを与えられるとそれに報いたいという「返報性の原則」があります。
恋愛でも気にも止めていなかった相手に好意を向けられることによってその人を意識し、最終的には好きになってしまうことがありますよね。これを「好意の返報性」と呼びます。
世の中の8割は返報性の原則が通用するギバーとマッチャーです。これらの人々には積極的に与えましょう。
そうすればあなたの周りには返報性の原則が機能し理想のGIVE&TAKEが実現するはずです。
・救急搬送した傷病者の家族から感謝の手紙とお菓子が届いた
・院内協力している病院が時間外に傷病者の受け入れをしてくれた
・ 勤務交代をしてあげた同僚が子供の運動会の日に勤務を変わってくれた
これらの例のように知らず知らずのうちにあなたの周りにも返報性の原則は作用しているのです。
公務員は全体の奉仕者。その中でも救急救命士は地域住民の命を守る究極のギバーなのです。
是非、それを救急活動だけではなく組織や人間関係にも活かしてみてください。
そうすればあなたの元には必ず仕事の成功や幸せな人間関係が引き寄せられるでしょう。

返報性の原則か。僕も人に何かしてもらったらちゃんとお返しできる人間になりたい!
パパはよくお友達からプレゼントが届くけどそれも返報性の原則なの??

パパはファイナンシャルプランナーとしてお友達のお金の相談にも乗っているんだけど、
そのお返しとしてお米、お肉、果物なんかが送られてきたよ。まさに返報性の原則だね!!
Twitterのフォロワー1000人達成を記念して感謝企画を行いました。
このようなGIVEは見返りを期待していなくても自然と自分の元に返ってきます。

ここまでGIVE&TAKEにおける3種類のタイプと返報性の原則をご紹介してきました。
あなたが目指すべきは成功と幸せを引き寄せる「他者志向のGiver」です。
日本のことわざの中に「情けは人のためならず」という言葉がありますが、これはまさに他者志向のギバーを表しているのではないでしょうか。
与えることは相手のためだけではなく回り回って自分に返ってくるのです。

図のように自己利益と他者利益を両方考えることが他者志向のギバーです。
他者志向のギバーは人に助けを求め、アドバイスや協力してもらうことで更なるパフォーマンスを発揮します。
自身の強みや気づきを引き出してくれるコーチやメンターを見つけられると、自己犠牲型から他者志向型へシフトチェンジできるでしょう。
コーチやメンターついて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。


自己犠牲のギバー
どこの組織にも自己犠牲のギバーが存在します。彼らは俗に言うお人好し。
自分の仕事を抱えながら、他者の仕事も手伝ってしまうのでいつまで経っても自分の仕事が進まず、上司や同僚からの評価は低いまま。
体育会系の消防組織において上司の命令は絶対。優しい人ほど本来自分のやるべき仕事ではない分野まで担当させられて疲弊してしまっている姿をよく目にします。
成功や幸せが遠のく自己犠牲のギバーにならないように注意しましょう。
それでは救急活動後の自己犠牲のギバーとテイカーのやりとりを確認してみましょう。

先輩さん、救急出動お疲れ様でした。
先輩さんは忙しそうなので資機材の片付けしておきますね!

お疲れ様。
それじゃあ、救急出動報告書作成と洗車もよろしく!

えっ?僕も救急救命処置録を書かなきゃいけないし、お昼ご飯もまだで・・・

俺、現場第一主義で事務仕事や雑用苦手なんだよね。
ほら、救急救命士が出動報告書を書いた方がいい物ができるしさ。

はぁ、わかりました。やってみます。
(いつになったらご飯が食べられるんだろ・・・)
この例ではテイカーな先輩さんの要求に後輩くんは半ば強制的に自己犠牲を強いられてしまっています。
これでは業務過多によって自身のパフォーマンスが上がるはずがありません。
他者志向のギバーになるためには自己利益も確保する必要があるのです。
テイカーは奪える人からはとことん奪う性質も持っています。時には先輩であっても勇気を持って断ることも必要でしょう。
他者志向のギバー
自己の利益と他者の利益を両方考えて行動できるのが他者志向のギバーです。
他者志向のギバーになるには積極的に与える事と、与える人を選別する必要があります。
テイカーに与え続けると自身が疲弊して自己犠牲のギバーになってしまうからです。
それでは救急活動後の他者志向のギバーとマッチャーのやりとりを確認してみましょう。

先輩さん、救急出動お疲れ様でした。
今回の救急活動も先輩さんのおかげでスムーズに進みました。

お疲れ様。今回も良い活動ができたね!!
後輩くん昼飯まだだったよな、俺が資機材の片付けと洗車しておくから食べておいで。

ありがとうございます!!
食べたらすぐに救急出動報告書と救急救命処置録を作成しますね。
あっ、先輩さんの感染防止衣が痛んできているので更新もしておきますから。

ありがとう。
後輩くんの気遣いのおかげでいつも気持ちよく活動ができるよ。
この例では他者志向のギバーである後輩くんは事務処理の苦手な先輩さんの代わりに書類作成を積極的に引き受けています。
また、痛んだ感染防止の交換というプラス1のギブもしているのです。
このような何気ないサプライズは相手に響き、マッチャーである先輩さんは返報性の原則で好意を返してくれるでしょう。
与える事で善意の輪が広がれば確実に仕事の効率や人間関係は良くなります。是非、他者志向のギバーを目指してください。

同じギバーでも自己犠牲と他者志向では全然違うんだね。
僕は他者志向のギバーになりたいな!!

きずなは優しいからきっと他者志向のギバーになれるよ。
それには自分も相手も大切にすることが必要。
自分が犠牲になるギブには気を付けてね!!

救急救命士を目指す人にはギバーが多い。これは間違いない事実です。
私も人の役に立ちたい、人の命を救いたいという気持ちから救急救命士資格を取得しました。
消防や医療現場で活躍する仲間達もやはりギバーが多い。彼らといると理想のGIVE&TAKEを実感します。
実は私が民間救急救命士としていられるのもこの GIVE&TAKE が上手く作用したおかげなのです。
今回は私が経験したエピソードをQ&A形式でご紹介します。
- どんな問題があったのか教えて?
- 民間救命士になって私は大きな壁にぶつかりました。それは法律の壁。今でこそ救急救命士の職域は民間企業や病院内まで広がっていますが、当時は救急救命士は元々消防のための資格というのが風潮が強く、大規模消防から民間企業が救命士を雇用して救急救命処置を行うことは認められないのではないかと物言いがついたのです。
- どのように問題を解決したの?
- やり方を間違えると救急救命士としての基本的な活動さえできなくなる大ピンチでした。
そんな時、日頃から医療系セミナーで顔を合わせている医師や消防救命士の方々が味方についてくれたのです。救命士の質を確保するための病院実習や救急車同乗実習の受け入れはもちろん、当時前例の無かった民間医療機関と民間企業のメディカルコントロール体制まで結んでくれました。
なぜここまでしてくれるのか訪ねると「君は日頃から地域の医療従事者育成に貢献してくれている。民間救命士だが知識や技術が高いことも知っている。だから協力しようと思った。」とのことでした。
- その後はどうなったの?
- メディカルコントロール体制を構築したことで、私は法律を遵守した上で消防救命士と同じように活動できるようになりました。今まで自分は救命士界のグレーゾーン的存在であり、消防救命士に対してどこか気後れしていたところがありましたが、今では自分が民間の救命士だということを胸を張って言えます。
これは私が行ってきた医療系セミナーでの指導というGIVEがとても大きなTAKEとなって返ってきたエピソードです。この恩義に答えるためにも今後も力の限り地域の医療従事者育成に貢献していこうと思います。

パパが日頃からみんなに与えていたから、困ったときに助けてくれたんだね!

与えているって意識は無かったんだけど、そう思ってもらえていたことが嬉しかったよ。
みんなからいただいたGIVEは他の困っている人達に「恩送り」していくつもり!

・人間にはギバー、マッチャー、テイカーの3種類のタイプがいる
・他者志向のギバーが最もパフォーマンスが高く成功しやすい
・人には返報性の原則があり、与えられるとお返しするという心理がある
あなたが他者志向のギバーを意識して行動し続ければ、時間はかかりますが必ず幸せや成功を掴むことができます。
しっかり相手を見定め自分も相手も利益のある状態であるWINーWINを目指しましょう。
アドラー心理学をベースに哲人と青年が語る「幸せになる勇気」には次のような言葉が出てきます。
「与えよ、さらば与えられん」この言葉の通りまずは自分から与える事。これが成功への第一歩です。
今回ご紹介したGIVE&TAKEの考え方があなたの人生に少しでも良い影響を与えられたのならこんなに幸せなことはありません。
アドラー心理学について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。


成功と幸せを引き寄せる救急救命士のためのGIVE&TAKE。
組織には様々な人がいますが8割の人は与えればちゃんと応えてくれる人です。
自分から与える事で結果的にそれは大きくなって自分の元へ返ってきます。
救急救命士のことをまとめているこちらの記事も是非ご覧ください。

与えよ、さらば与えられん。はじめて知りました。私は、『恩は遠くから返せ』という言葉が好きです。恩をすぐに返すと、マッチヤーになってしまいますし、相手もマッチャーだと、意味のないお返しの無限ループになるからです。
すぐに返さないことで、相手がギバーかの判断が出来ます。
コウさん
コメントありがとうございます。
仰り通りただ与える続けるのでは自己犠牲のギバーになってしまうので、
しっかりと相手を見定め、与えるべき人に与える事。
これが他者志向のギバーの第一歩ですね!!