【強みの活かし方】唯一無二の存在になる方法を救急救命士が徹底解説!!

救急救命士として働いているけど先輩や後輩に比べて自分は光るものがない。この分野だけはどうしても苦手で何度もミスしてしまう。救急救命士として自分は何が得意なのかわからない。

こんなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか?

救急救命士の仕事は本当に多くのスキルを必要とします。救急活動だけでもコミュニケーションスキル、観察スキル、処置スキル、搬送スキルそして体力等々。数え上げればきりが無いほどです。

では病院前救急医療を担うプロとしてすべてを完璧にこなすオールマイティーにならなくてはならないのか?

これは半分正解で半分間違いです。人には得手不得手があり、すべてを完璧にこなすことなど不可能だからです。

この記事ではあなたの中に眠っている強みの活かし方について解説します。

この記事を読んでわかること

救急救命士の強みの活かし方

チームでの強みの活用方法

救急救命士エピソード紹介

KID
KID

こんにちは民間救急救命士歴15年、元消防士のKIDです。

相手の強みを活かすため職場内コーチとしてこれまで多くのメンバーの相談に乗ってきました。

救急隊がなぜ3人で活動するのか知っていますか?理由はマンパワーの充足はもちろんですが、

お互いの得手不得手を複数人数で補えるからです。

今回の記事では多くの方が抱える課題である自身の強みの活かし方についてご紹介します。

救急救命士の強みの活かし方

あなたの強みは何ですか?この問いに完璧に答えられる人はほとんどいないと思います。

救急救命士が働く消防という組織は残念ながら加点方式ではなく減点方式の世界

強みを褒められることは極端に少なく、逆に弱みは徹底的に指摘される厳しい仕事です。

しかし、時代は変わりました。世代交代により現場経験の少ない若手を活用しなくては組織が回らなくなってきているのです。この問題を解決するためには各個人の強みを引き出し組織を強化する必要がある。

現代経営学の父であるピーター・ドラッガーは著書の中で次のように述べています。

人が何かを成し遂げるのは、強みによってのみである。

弱みはいくら強化しても平凡になることさえ疑わしい。

強みに集中し、卓越した成果をあげよ。

引用:マネジメント

組織の役割は強みを爆発させ、弱みを無くすことです。

経験不足、観察や手技のスキルが低い、基礎体力がない等々、人の弱みはとても目に付きやすい。

それらを指摘されることで自己肯定感が下がり、自分の持っている本当の強みに気がつかない人がたくさんいます。

しかし、弱みをチームで補い合い、個人の強みを伸ばせる組織こそが真に強い組織となるのです

きずな
きずな

強みの活かし方か、考えたこともなかったよ。

自分ではわからないけど、僕の強みや弱みってなんだろう?

KID
KID

きずなの強みは誰にでも優しい事と頑張り屋さんなところかな。

逆に新しいことに挑戦するのがちょっぴり苦手だよね。

苦手な部分はしっかりサポートするから強みを伸ばしてもらいたいな!!

ジェネラリストとスペシャリスト

強みを活かす上で自分の今の立ち位置を把握することが重要です。

自分は今どんな仕事をしていて何を求められているのか。これを把握することが強みを活かすファーストステップ。

救急救命士を含めほとんどの仕事はジェネラリストとスペシャリストの2種類に分類することができます

この2つが上手く作用し合うとその組織やチームはより強靱になるのです。

ジェネラリストとスペシャリスト特徴

ジェネラリスト:多様なスキルや経験を持ち、仕事をオールマイティにこなすことができる人材

例:管理職、プロデューサー、映画監督、総務、人事、救急隊長

スペシャリスト:特定の分野のスキルや経験が豊富で、専門的技術を有する人材

例:営業職、研究員、医師、看護師、救急救命士

救急救命士は病院前救急医療のプロフェッショナル、すなわち専門性の高いスペシャリストです。

しかし、視点を少し搾ってみると見方が変わってきます。

医師で表現するならその分野を極めた専門医はスペシャリスト。どんな患者が運ばれてきてもオールマイティーに対処できる救急医はジェネラリストと言えるでしょう。

そういう意味では救急救命士はスペシャリストでありながら、どんな病気や怪我にも対応できるジェネラリストになる必要があるのです。

きずな
きずな

ジェネラリストとスペシャリストか!

僕は将来どっちになるんだろう。消防士?警察官?それとも社長さん??

KID
KID

ドイツにはマイスター制度っていうのがあって小学4年生までにその子の適性を判断して

将来ジェネラリストになるかスペシャリストになるか方向性を決めるんだ

これから日本もそういう傾向が強くなるかもね!!

強みを活かすT型人材

自身の強みを発揮する有効な方法として「T型人材」を目指すべきです。

T型人材とはすなわちジェネラリストの総合力とスペシャリストの専門性を持つ人材のこと。

変化の激しい今の時代、何でも器用にこなす「ー型」や、狭い範囲に特化した「I型」だけでは不十分。

すべての業務に平均レベルで精通し、自分の強みで違いを付ける「T型人材」が求められているのです。

図のようにT型人材は視点を変えることによって2種類の見方をすることができます。

救急救命士としてあなたが目指すべきは狭義のT型人材

救急救命士として平均的な知識やスキルは持ちつつ、ここだけは職場の誰にも負けないというストロングポイントを持つこと。

これが組織の中で自身の強みを活かす最善の方法なのです。

ストレングスファインダーの活用

自分は何が得意なのかを知ること、それが強みを活かすことの第一歩です。

才能診断ツールである「ストレングスファインダー」の活用がオススメ

ストレングスファインダーとはアメリカのギャラップ社が開発したオンラインツールで177個の質問に回答することによって客観的にあなたの強みを知ることができます。

今、民間企業では採用や適所適材の人材配置にこのストレングスファインダーを活用するところが増えています。

資質は4パターン34種類あり、この中でどの資質が上位にあるか認識することで強みの活かし方のヒントを得られるでしょう。

救急救命士としてのベーススキルに加え、自分は何が得意なのか、どういう傾向があるのか知ることができれば、T型人材として強み活かすことが可能になります。

またチームメンバーの資質を知ることでより深く相手を理解できるのでマネジメントにも役立つのです。

ストレングスファインダー活用例

指令性とアレンジの資質が上位にあるから、救急隊の リーダーとして部下を引っ張っていく

達成欲と回復志向が強いから、傷病者の怪我の処置や状態改善にやりがいを感じる

共感性とコミュニケーションが上位資質だから傷病者や関係者の立場に立って問診に力を発揮する

このように資質を上手く掛け合わせ磨いていけば、誰でも組織の中で唯一無二の存在になれるのです

ストレングスファインダーは書籍を購入して付属のアクセスコードをギャラップ社のサイトに入力することで上位5資質までの診断が可能となります。

追加料金は必要ですが34資質すべての診断も可能なので是非挑戦してみてください。

きずな
きずな

ストレングスファインダーか、自分の得意なことを知れるのはいいね。

パパはどんな資質だったの?

KID
KID

パパは最上志向、アレンジ、収集心、学習欲、個別化が上位資質だったよ。

最上志向や個別化の資質は個人個人の強みを把握して伸ばすことが得意だからコーチング、

収集心や学習欲はブログを書くことに役立っていると思う!!

チームでの強みの活用方法

ここまで救急救命士の強みの活かし方をご紹介してきました。

自分の強みや弱みをしっかりと認識し、強みで組織に貢献し、弱い部分は誰かにサポートしてもらう

このようなチームが作れたら、お互いが補完し合うことで活動レベルは高まり、救急救命士の使命である人命救助に繋がることでしょう。

救急救命士なのにプログラミングが得意、救急救命士なのに運転がプロ並み、救急救命士なのに人の心に響く文章が書ける。

強みを掛け合わせることで可能性は無限に広がります。是非あなただけの強みを見つけてくださいね。

図は心理学者ジョセフ・ルフト、ハリントン・インガムが考案した「ジョハリの窓」と呼ばれる概念です。

自分の強みは自分には見えないことも多いので、信頼できる同僚や友人との交流の中で盲点の窓を開放の窓にシフトしていきましょう

また自分も相手も知らない強みの発見にはコーチングが有効的です。

コーチとの双方向性コミュニケーションによって誰も気がついていなかった未知の窓の中にある、あなただけの強みが見つかるかも知れませんよ。

これからのリーダーの必須スキル「コーチング」について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

【コーチング】最強のコミュニケーション手法を救急救命士が徹底解説!!

強みの活かし方

組織の大小に関わらずリーダーは部下をマネジメントする必要があります。

部下の強み弱みを把握し、部分最適ではなく全体最適を目指すことがよい救急活動に繋がるからです。

体育会系の消防組織では伝統的に相手の弱みに注目しがちになりますが、部下の強みを認めそれを活かせばチーム力はかけ算となり何倍もの効果を発揮します。

それでは救急活動におけるチームでの強みの活かし方を確認してみましょう。

後輩くん
後輩くん

先輩さん、傷病者はバイクで転倒し、右足から大量に出血しています。

すぐに止血しなければまずい状況です。

先輩さん
先輩さん

了解!!後輩くんは救命士の知識を活かして全身観察を行ってくれ、

止血は私と機関員が責任をもって行う。

観察が終わったら重症度を判断して搬送先病院の選定を頼む。

後輩くん
後輩くん

了解しました。
観察後すぐに病院選定を行います。

この例では先輩さんは後輩くんの救急救命士という強みを活かし適切なチームマネジメントを行いました。

基本スキルである止血は自分と機関員が担い、高度なスキルである全身観察や重症度判断をスペシャリストである救急救命士に任せることで全体最適な活動となったのです。

しっかりと役割分担が機能したことで傷病者を最短の時間で救急救命センターに搬送することができました。

このようにお互いの強みを発揮できればシナジー効果でチーム力を何倍にも高めることができるのです。

弱みのカバー方法

強みのない人間がいないように弱みのない人間もいません。

それでもミスの許されない緊迫した救急現場ではチームが個人の弱みを中和しながら活動する必要があります

救急隊が3名編成なのはお互いがお互いをサポートすることで、弱みを消す作用があるからなのです。

それでは救急活動におけるチームの弱みのカバー方法を確認してみましょう。

後輩くん
後輩くん

先輩さん、自動車の多重衝突事故で10名近い傷病者が出ています。

僕たちだけではとても対応できません。どうすればいいでしょう。

先輩さん
先輩さん

落ち着くんだ。すぐに本部に応援要請して増援を頼む。

我々の任務は先着隊としてトリアージを行うことだ。

後輩さん
後輩さん

多数傷病者のトリアージは初めてで一人でやる自信がありません。

先輩さん
先輩さん

大丈夫だ。機関員をサポートに付けるから後輩くんはいつも通りの観察を行ってくれ。

機関員は後輩くんの補助とトリアージタッグの記載を頼む。

トリアージが終わったら本部に詳細内容を連絡しよう。

後輩くん
後輩くん

了解しました。機関員さんと協力してなんとかやってみます。

この例では後輩くんの経験不足という弱みが出てきましたが、先輩さんの適切な判断でその弱みを打ち消し最善の救急活動を行うことができました。

今回の事例のように個人の弱みはチームの力でカバーすることができます

リーダーがサーバント型のリーダーシップを意識していれば、自ずとこのようなお互いが支え合うよいチームになっていくでしょう。

新しいリーダーの形「サーバント型リーダーシップ」を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

【リーダーシップ】新しいリーダーの形を救急救命士が徹底解説!!
きずな
きずな

強みの活かし方と弱みの消し方がよくわかったよ!!

チームで連携するってとっても大切なんだね。

KID
KID

ドラッガーの言うとおり、組織の目的は強さを爆発させ、弱みを無くすこと

これが実践できているチームは本当に強い組織になるよね。

救急救命士エピソード紹介

救急救命士は救急医療の専門家(スペシャリスト)でありながら、どんな現場状況でも総合的な力(ジェネラリスト)を発揮しなければなりません

そこからもう一歩踏み出して、自分だけの強みを発揮できればあなたは希少な人材として組織内でひときわ輝く存在になれるはず。

消防士時代、私には救急救命士として平凡な能力しかありませんでした。判断能力が低いことや手先が不器用など弱みも多く救急現場でミスをして自己嫌悪の日々。

それでも自分の強みを探し続けたことで今では救急救命士として胸を張って仕事ができています。

ここでは私が経験したエピソードをQ&A形式でご紹介します。

当時の状況を教えて?
消防士時代、私にはほとんど強みと言えるものがありませんでした。逆に弱みは本当にたくさんあってそれを叱責される毎日。自己肯定感は地に落ちていました。自分に自信の無い状況で救急現場に出動するのでミスも多くチームに迷惑をかける負のループに陥っていたのです。
どうやって自分の強みを見つけたの?
消防では救急救命士の業務の一環として地域住民に対する救急講習を行っています。若手が実施することも多く私も何度か講習を担当したのですが、受講者の反応から自分は人に何かを伝えることが苦手ではないことに気がつきました。そこで事前に受講者にわかりやすい資料を作って講習を行ってみるとこれが大評判に。「救急救命士なのに伝えることが上手い」これが私が見つけた強みだったのです。
その後の強みの活かし方を教えて
年数が経っても救急救急救命士としてのスキルで人より秀でることはできませんでしたが、救急講習には磨きがかかり、上司や同僚からも評価されるようになりました。消防を退職した後もその強みを活かし全国規模の学会で発表したり、救急専門誌にコラムを掲載するなど自分だけの強みを発揮することで自己肯定感は高まり、今では民間の救命士として誇りを持って仕事ができています。
このブログもストレングスファインダーで自分の資質を詳細に分析したことがきっかけで始めました。
自分の強みを知ることは人生を変える力がありますね。
きずな
きずな

救急講習をきっかけにパパは自分の強みに気がついたんだね。

僕にいつも勉強を教えてくれるけど説明がとってもわかりやすいもん。

KID
KID

人にもの伝える技術って何にでも応用できるから磨いてきてホント良かった。

今でもその技術は職場や趣味の指導なんかに役立っているよ。

まとめ

Point

誰もが強みを持っており、組織は強みを活かし弱みをカバーする必要がある

これから求められるのは総合能力と専門技術を合わせ持ったT型人材

コミュニケーションやツールで強みを見つけることができる

組織の中で強みを活かすことができれば、あなたの存在は認められやりがいや新たな挑戦に繋がることでしょう

それにはまず自分を知ることが必要です。何が得意で何が不得意なのか。

得意な事でチームに貢献し、苦手なことは人に頼ることでチームの総合力は格段に上がります。

消防組織というものはとかく出る杭打たれる世界ですが、出すぎた杭は打たれません

是非、あなたの中に眠っている唯一無二の強みを見つけてそれを活かしてください。

今回ご紹介した強みの活かし方があなたの人生に少しでも良い影響を与えられたのならこんなに幸せなことはありません。

KID
KID

救急救命士の強みの活かし方

スペシャリストでありながらジェネラリストでなければならない救急救命士。

その中でも自分だけの武器を持つことで、あなたは必ず必要とされる人材になれるはずです。

救急救命士のことをまとめているこちらの記事も是非ご覧ください。

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2 COMMENTS

コウ

勉強になりました。文章は上手でした。
仮に少し下手でも、ツッコミが所があっていいかもって思いました。

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KID

コウさん
コメントありがとうございます。
少し固めの文章なのでもう少し柔らかく表現したいです。

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